まず初めに、どのような事業拡大を見据えるか、当社の将来ビジョンについてお聞かせください。
当社は、住友化学の生活環境事業の中核企業です。社名の「Environmental Science」は、「快適な生活環境を創生する化学技術集団」を意味しています。幅広い製品ラインナップを取り揃えるとともに、魅力的な製品の創出やサービスの充実を図り、社会へ貢献・信頼される会社を日々目指しています。
事業拡大には、新たな事業の柱となるような製品やビジネスモデルの提案と、その実現に積極的に取り組んでいける人材の確保・育成が、非常に重要となります。現在当社は、国内シェアNo.1の製品やビジネスを数多く有してはいるものの、このまま既存の事業だけを進めていけば必ず行き詰まるという大きな危機感を持っています。その解決策をクリエイティブに考え、様々な変革を形あるものにしていかなければなりません。
変革への熱いPassionを持ち、明確なMissionを共有し、果敢にActionを起こせるInnovation　Leaderが必要なのです。
そのようなイノベイティブな企業文化を醸成するために、当社では2018年より、「SES Life Innovation Award」という新しい取り組みをスタートいたしました。受賞案件はそれぞれプロジェクト化し、原則提案者が年齢にかかわらずリーダーとなって、組織の枠を超えて積極的に取り組んでいます。また惜しくも受賞できなかった案件につきましても、今後有効活用ができるようライブラリー化し、いつでも誰でも閲覧できるようにしています。
第一回の「SES Life Innovation Award」には、社員ほぼ全員から積極的な応募があり大変嬉しい驚きでした。今後、受賞案件が一日も早く成果を出して、さらなる飛躍のための変革につながることは大きな期待ではありますが、Innovation Awardとは関係なく日常業務の中でも独創的な提案が色々出てくるようになり、組織の垣根を超えたコミュケーションが活発になるという効果も出てきています。この取り組みを継続していけば、必ずサステイナブルな成長軌道を描き続けられると確信しています。

当時はどんな学生でしたか？
子供の頃から好奇心旺盛で特に海外に興味があり、中学生の頃から同年代の海外の人たちと英語で手紙のやりとりをしていました。今のようにメールやSNSはないので手書きの手紙のやりとりで、１ヵ月に一回くらいのスローな対話でした。現在は秒速のコミュニケーションも可能で大変便利ですが、私にとってこのような情緒のあるコミュニケーションは、今でも大切な人生の宝です。
大学は経済学部で典型的な文系の学生でした。先ほど言ったように子供の頃から海外に興味があったので本当はESS(英語研究部)に入りたかったのですが、187センチの身長を見込まれてバレーボールの世界に引き込まれ、英語や国際交流とは全く無縁の4年間を過ごしました。
ただ、海外とは無縁と言っても、卒業旅行に学生仲間と無謀にもアメリカをレンタカーで旅すると言う企画を立てて実行しました。初めての海外旅行でもあり、その時のアメリカでの刺激的な経験がますます海外志向を強くしたと思います。

新入社員時代の印象深いエピソードがあれば教えてください。
そういうことで就職活動では、海外事業を積極的に展開している会社に照準を当て会社訪問をしました。自社品がない故に何でも扱える、ダイナミックな仕事ができる商社にも惹かれましたが、自社品を自信と誇りをもってお客様に提供できるメーカーの仕事が自分には合っていると思い、その点、希望通り総合化学メーカーに内定をいただき、そのまま海外輸出部隊に配属となりました。
ここまでは良かったのですが、いざ実務になると全く英語が通用しない、海外のお客様との会議でも一言も自分の意見を言えないなど、大きな挫折感を味わいました。これでは海外出張など夢のまた夢だと思い、一念発起して英語と自社品の知識の習得に励みました。人生で一番勉強したと思いますが、そのせいで2.0あった視力が0.5まで落ちてしまいました。（笑）
その甲斐あって3年目に海外へ初めて出張に行けましたが、今度は英語が分かっても現場のお客様の質問や希望にうまく答えられない。まだまだ自社品の深い知識や現場のニーズを習得できていないことを痛感しました。
今思えば、挫折とチャレンジの繰り返しの新入社員時代でしたが、この繰り返しで得たことは単なる語学的なことだけではありません。「諦めずチャレンジを続ける」という前向きな姿勢、そしてお客様と分かり合えるまで対話をするというコミュニケーション能力を得たのではないかと思います。

SESを志望する学生へ、当社のPRポイントを教えてください。
何と言っても、生産・研究・販売の一貫体制があると言うことです。研究が営業と共にお客様のニーズを満たす製品を開発し、製造が高品質な製品を製造し、営業が自信と誇りをもってそれを販売することができる、その総合力だと思います。これを実行するには各部門間の密なコミュニケーションが大変重要ですが、この点において非常に風通しの良い組織であることが当社の自慢です。
そして、自分のやりたいことをイノベイティブに提案すればどんどんチャレンジできるところが魅力であり、強みではないかと思います。

新卒学生に求めることはなんでしょうか？
まず心がけていただきたいのは、先輩や上司から多くの経験と知識を吸収し、一日も早く担当業務のプロフェッショナルとなって常にベスト・パフォーマンスを追求していただくことです。しかし、既存の環境に安易に染まって埋もれてしまうのではなく、若い皆さんには新鮮なパッションを保って色々な変革を起こすInnovation Leaderになっていただきたいと思います。
今までの経験や考え方に凝り固まって保守的になっている人たちよりも、皆さんの方が自由なインスピレーションを持っておられると信じています。常識にとらわれない発想ができるアドバンテージをフルに活かして、当社を変革する力強いエンジンになっていただきたいと思います。まずは誰よりも前のめりになって業務に取り組み、たくさん失敗して、たくさん経験して我々と一緒に学んでいって欲しいと思います。

最後に、学生へのメッセージをお願いします。
私が申し上げたいことはとてもシンプルです。それは、時間を大切にして、仕事だけではない豊かな人生を送っていただきたいということです。
今のこの瞬間は二度とありません。悔いのない素晴らしい時間を、住化エンバイロメンタルサイエンスで共に過ごしていきませんか？　時間の使い方は、そのまま「いのち」の使い方だと私は思っています。まずは最初に置かれたところで、思う存分皆さんそれぞれの花を大きく咲かせてください。そして大きな果実をともに収穫いたしましょう。